堺市で発生していたシガテラ中毒 原因はイシガキダイ!?
2008年05月01日大阪初の中毒事例。南紀で釣った魚を食べて口唇・手足のしびれ、下痢…
シガテラ毒は肝臓その他の内蔵に蓄積されるほか、筋肉にも毒性があることがあるのだそう。毒を持つ魚もその食味は変わらず、またその毒は加熱調理によって分解されることもないというからやっかいだ。紀伊半島のイシガキダイの場合は、大型はそう簡単には釣れてはくれないという事情もあるわけだが、もしも釣れたら大喜びで食べちゃうわなあ
先ごろ静岡県で開かれた日本水産学会で、シガテラ毒による食中毒に関する緊急シンポジウムが行われた。シガテラ中毒は熱帯・亜熱帯海域の、おもにサンゴ礁周辺にすむ魚によって起こる食中毒で、日本では南西諸島が中毒海域にあてはまる。沖縄県や南九州での中毒はしばしば発生しており、沖縄県衛生環境研究所のデータによれば、県下では1988年から1998年までに届け出のあったものが22件あった。届け出されない例もかなりの数になると見られており、その実態は不明だという。
シガテラ中毒の要因はシガトキシンなどの天然毒。シガトキシンは、海藻に付着する渦鞭毛藻(うずべんもうそう)と呼ばれるプランクトンによって生産され食物連鎖によって毒が移行・蓄積していく。肉食の大型魚ほど毒性が強くなるのはそのためで、ドクウツボやバラハタ、オニカマス、ハタ類など南海の大型魚に危険性が高いことがよく知られているが、イシガキダイやヒラマサ、カンパチなど、おなじみの高級魚でも中毒例がある。
かつて、本州以北ではありえないとされた中毒事例が見られるようになったのはここ10年ほどのことらしい。2002年末、千葉県内の料理店がイシガキダイのあらいやかぶと焼きを提供し、8人が中毒するという事例があったが、他の府県でもシガテラ中毒の発生が見られるようになったことから、原因プランクトンの生息域が拡大している可能性がある、つまり温帯域への広がりが懸念されるとして研究者の意見交換が行われた模様だ。
そうした動きを伝えるニュースは近ごろ話題の「温暖化」にからめた論調だったが、気になったのが「昨年には大阪府で報告された」という記述。それってどういうことだったのかというわけであちこち聞き合わせてみると、これが府下では初めての事例だったらしい。
大阪府下では大阪市、堺市、東大阪市、高槻市の4市がそれぞれ自市の食品衛生を管轄し、その他の府域を府が一括管轄しているのだそう。それでは一番大きいところから、というわけで順に問い合わせていき、3番目の堺市保健所食品衛生課で「あ、それ。うちですわ」との返事を得た。ヨロシいね大阪は。お役所も気さくで。
「話を聞いてみると、食べたのはイシガキダイ。和歌山県で船を出して釣った魚だったようですわ」昨2007年6月5日、市内の病院から「シガテラ中毒が疑われる患者が出ました」との連絡を受け、調査に向かったのだそう。中毒者は9人。釣り仲間とその家族で、自分たちで釣った50cmクラスのイシガキダイを刺身、焼き魚、潮汁にして食べたところ、食後30分から1時間の間に口唇のしびれ、手足のしびれや激しい下痢症状が現れ、症状の重い何人かは入院することになった。市初の中毒事例となったわけだが実は、その原因となった毒素の検出はできなかったのだそう。「いや、皆さん釣りをされる方たちで…」って、どういうコトかと思ったら、釣魚を食べることによく慣れている人たちだったため、問題のイシガキダイの身も皮もアラも、すべて上手に調理して食べており、検出に回せる部分がほとんど残っていなかったのだという。結局、その症状と医師の意見などからシガテラ中毒と判定した。
シガテラによる中毒は死亡率は低いものの回復には時間がかかる。現在のところ効果的な治療法は確立されておらず、完全回復まで長ければ半年から1年もかかることがあるそうだ。また、一度中毒を起こすと、次の中毒では過敏になり、症状も重くなるという。中毒を避けるには地元で危険とされる魚を食べないこと。南紀のイシガキがやばいかもしれないって、困った話よね。




