七里御浜沖フェリー座礁
2009年11月16日周辺沿岸部への重油漂着はいまのところなし
七里御浜の沖合200mに座礁したフェリー「ありあけ」
11月13日、三重県尾鷲市の三木埼灯台の南約35kmの沖合を航行していた、東京発那覇行きのフェリー「ありあけ」(7910t)の船体が傾き、その後、七里御浜の沖200mで座礁した事故で、乗客と乗組員全員が無事救助されたことは不幸中の幸いだった。しかし、完全に横倒しになった船体からは、かなりの量の重油が漏れだし周辺海域の環境に影響を与えないか危惧されている。
かなり大きなフェリーなので、遠くからでもその姿がはっきりとわかる。幸いなことに、いまのところ(11/16現在)周辺エリアにおいて重油の被害などは確認されていないとのこと。このまま、何事もないことを祈るばかりだ(すべての写真提供/フィッシング嶋勇)
七里御浜はご存じの通り三重県南部の熊野市から御浜町、紀宝町にかけて約22kmも延々と続き、日本の渚百選、日本の白砂青松百選にも選ばれた美しい砂浜。波打ち際のすぐ先からいきなり深くなっており危険なため遊泳は禁止されているが、逆に投げ釣り、カゴ釣り、ソシ釣り(ツノという和製ルアーを使った伝統の釣りでサーフトローリングとも呼ばれる)、ルアー釣り、エギングなどの好ポイントとなっている。今回、ありあけが座礁した御浜町下市木あたりも同様に、いろいろな釣りの絶好のポイントとなっており、冬場はカゴ釣りで40cmクラスのグレも釣れる場所。この11月に入ってからはカゴ釣り、ソシ釣り、ルアー釣りで40cm前後のハマチを朝イチの時合いに多い人は4、5匹釣り上げていたという。
熊野市内の釣具店で七里御浜が目の前にあるプロショップ嶋勇のスタッフ嶋さんによると「周辺ではハマチ以外にも夜はカゴ釣りで25cm前後のアジ、エギングで300~500gのアオリイカが釣れています。ありあけは非常に大きな船なので、うちの店から10km以上離れているのですが、店の前の浜からでも肉眼ではっきり分かりますよ」とのこと。
懸念される流出した重油の影響だが、11月16日現在、事故現場の七里御浜で多少匂う程度で、熊野市から尾鷲市にかけての磯釣り場でも渡船店の話では大丈夫という。いまのところ潮流が熊野灘の沿岸部から離れる方向(14日現在で南東方向に5kmまで流出)に向いていることが幸いし、大きな被害は出ていない。現場海域ではタグボートや尾鷲海上保安部の巡視艇など計7隻が海水と油をかくはんするなど、油の除去作業にあたっているほか、16日には漏れた重油をせき止めるオイルスキミングネットが船の周囲に張られた。
ありあけを運航していた「マルエーフェリー」(鹿児島県奄美市)は船内から燃料の重油を抜き取ったうえで、船体の撤去作業を実施する方針を決めたが、尾鷲海上保安部は重油の抜き取り作業だけで、少なくとも1カ月程度はかかるとの見解を示している。
突然、目の前に巨大な船影! 沖から引いてきたツノにチェイスするのはハマチではなくて、でかいフェリー。「本当に驚きましたよ」などという目撃談がないか聞いてみたが、事故が起きた早朝は、天候は雨で霧も濃かったそうで、釣りをしていて浜に接近してくる船を見たという人は、嶋さんの知る限りいないという。何はともあれ、今後も沖に浮かぶ重油が海岸に押し寄せることなく、いままで通りの七里御浜であってくれることを、心より祈りたい。




