メバル3種の新和名「アカ」「クロ」「シロ」に確定
2008年08月21日長期にわたる混乱に決着。核DNAの解析が決め手になった
というわけで編集部のストックから3種の写真を選び出してみた。上からアカメバル、クロメバル、シロメバルということになる(はずだ)。実は、これら3種の見分けは変異の幅が大きい体色だけでは決め手とならず、胸ビレの軟条数が問題になる。多くのものでアカは15本、クロは16本、シロは17本なのだが、残念ながらそれが明確に数えられる写真がそろわなかった。簡単じゃありませんね。間違いご容赦!
8月15日、メバル3種の標準和名と学名が日本魚類学会の英文誌(Ichthyological Research)に掲載された京都大学の甲斐嘉晃博士、中坊徹次博士の論文により、以下の通り確定した。
- アカメバル(Sebastes inermis Cuvier,1829)
- クロメバル(Sebastes ventricosus Temminck and Schlegel,1843)
- シロメバル(Sebastes cheni Barsukov,1988)
※片仮名が標準和名、カッコ内は学名。Sebastes inermis、Sebastes ventricosus、Sebastes cheniはイタリック体表記
甲斐博士らの研究グループによって、従来同一種とされてきたメバルが3つの種に分けられたのが2002年。赤、黒、茶の3パターンに分けられるメバルの体色の違いへの着目からスタートし、それぞれの形態形質の違いを確認、さらにDNA解析によって別種であることをつきとめた。それぞれ
- A=赤色型
- B=黒色型
- C=茶色型
という3色彩型に分けられ、たとえば「メバルA型」などの名称が暫定的に用いられてきたが、この論文により新しい学名が確定、同時に新和名が提唱されたわけだ。この夏、メバルは正式に3種に分かれたのである。
魚類の研究者の間では、メバルの体色の違いは長い間、論争のタネだったという。体色の違いは別種とすべきという説と、同種内の変異にすぎないという説の両方があったが、詳しい研究は行われていなかった。甲斐博士らの研究グループでは1995年に開発されたAFLP法という手法により核DNAを解析、これら3色彩型が互いに交配していない別種の関係にあることを証明した。
というわけで標準和名の「メバル」は消えた。上記アカ、クロ、シロが今後、それぞれのメバルの固有の名前になる。21世紀のいま、メバルのような身近でなじみ深い魚が実はそれぞれ独立した別の種だった、ということが分かる。すごいねこれは。魚についてはまだまだ知られていないことがたくさんあるというのもうなずける。以下、3種のメバルを見分けるキーポイントをあげておこう。
- アカメバルは全身が赤っぽい。長く伸びる胸ビレが赤く、腹ビレ、尻ビレも赤みがかる。体高はやや低く、全体にスマートな印象を受ける。
- クロメバルは生きているときは全身が黒っぽく胸ビレも黒い。背中が青やグリーンがかる。他の2種より外洋性が強く内海には比較的少ない。
- シロメバルはぼくらの釣りでも一番普通に釣れるタイプ。生きているときの体色は金色がかった茶褐色で胸ビレも茶色っぽい。
体色の違いによるメバルの呼び分けは、ぼくら釣り人の間でもこれまで普通に行われてきた。いわゆる赤(もしくは金)がアカメバル、それは違和感がないところだろうが、クロとシロには注意が必要かもしれない。標準和名クロは青、シロを黒メバルと呼ぶことが多かったからだ。しばしば同じポイントで釣れる3種のメバル。一匹ごとにじっくり眺め、見分けていくのも楽しいかもしれない。




