予選リーグから決勝戦まで爆釣の連続!記録的な荒食いに沸いた弓ヶ浜
2010年7月3日、4日の2日間にわたり、鳥取県米子市の弓ヶ浜にて、シマノが主催する「ジャパンカップ投(キス)釣り選手権」の第26回全国大会が開催された。
参加した選手は、のべ2,500名もの参加者の中から北は山形県、南は福岡県までの全国11会場で行われた地方大会、さらにはセミファイナル北日本大会/東日本大会/西日本大会を勝ち上がった19名に、インストラクター選抜戦から2名、シード選手3名を加えた計24名。なお、今大会から出場選手を昨年までの18名から24名に拡大。より王者への可能性が広がり、白熱した全国大会となった。
トップキャスター24名が集まった全国大会の舞台は、日本有数のキス釣りポイントである鳥取県の弓ヶ浜。大会ではまれにみる魚影の濃さで、多くのキャスターが試合ごとにキロオーバーの釣果を上げていた
当日はまず、予選リーグからスタート。これは2日間にわたって行われ、1試合90分間の予選を5試合。その5試合の通算「勝ポイント」上位3名が決勝戦に進むリーグ戦方式で、序盤に振るわなかった選手にも挽回のチャンスがあり、逆に好発進した選手は最後まで気を抜けず、より実力が発揮しやすく、また真価が問われるようになった。
その予選リーグ各試合はA、B、Cの3ブロックに8名ずつ振り分けられて行われるが、「A、B、C全てのブロックに必ず1回は入る」「同じブロックに入るのは最大2回まで」「5試合のスタート平均順序は全員4.4~4.6番目」「全員が連続して同じブロックに入らない」「選手全員が誰か1名に対して5試合中4試合対戦する」以上の組み合わせ方法をとっており、より運の要素を減らしたものとなっている。
さて、今大会の弓ヶ浜だが、「こんなにキスが釣れた大会はいままで見たことがない」と誰もが口をそろえるほど、歴史に残る魚影の濃さだった。予選第1試合で計1kg以上のキスを釣った選手はなんと21名。他の3名も600g以上釣っており、例年の数倍もの釣果が上がる爆釣劇。あまりの重量に検量が2回に分けられることもあるほどだった。
例年なら2試合目は、1試合目に比べると場荒れのため食いは落ちるが、今回は第1試合で当日の状況を把握した選手がパターンをつかみ、第2試合では18名の選手が第1試合よりも重量を伸ばす異例の展開。このとき、過去4度優勝経験がある大林裕幸選手は、2,109gという、90分の試合時間とは思えない驚異の釣果を叩きだした。
予選リーグから着実に釣果を上げていき、初のジャパンカップの栄冠に輝いた伊藤幸一選手。使用タックルは、ロッド:キススペシャルBX+(シマノ)、リール:スーパーエアロキススペシャルMg(シマノ)、道糸:サーフファイターPE遠投0.8号(山豊テグス)、力糸:サーフファイターちから糸PE1→7号(山豊テグス)、天秤:湘南天秤、オモリ:山本式ウッドシンカー28号(フジワラ) 、クッション:タナキーパー15cm(マルフジ)、仕掛け:自作12本バリ(幹糸1.2号、エダス0.6~0.8号/2.5cm、枝間23cm)、ハリ:アスリートキス3.5号(ささめ針)。エサは、メインが餌付けのしやすいチロリを使用。仕掛けの上部か下部にはイシゴカイの真ん中から下のよく動く所を使い、アピール力を高め、まず1匹目をかけることに力を注いだという
キスの荒食い状態は第3試合も続き、一夜明けた翌日の第4試合と第5試合は、さすがに若干食いが落ちたものの、それでも半数以上の選手が1kg以上のキスを検量会場へと持ち込んでいた。そして24名の選手が予選リーグ計5試合で釣ったキスの総重量は162kg。大会終了時に「一生に一回あるかないかの釣果」と評されるほどの記録的な爆釣だった。
予選リーグでの好釣果の要因の1つは、キスの大きな群れが岸寄りに集まっていたこと。遠投するとアタリは少なく、2色以内の近投にアタリは集中。なかには1色以内に絞って近投を続けていた選手も見られたほど。「沖に大量のハマチやサワラなどのナブラが出ていたので、青物を嫌がってキスは岸寄りに逃げ込んできたのでは?」「水温上昇が遅れている影響で、水温が比較的高い浅場に集まっているためだろう」などといった推測が、選手の間では挙げられていた。
そんな状況下で勝敗を分けたのは手返しの差。近投で8~10連が多発する状況では、いかに素早くキスを外してエサを付け、スムーズに次のキャストへ移れるかが勝負の決め手。1つのトラブルが命取りになるため、ミスをしない集中力の高さも必要だった。そんな運だけで勝ち上がるのは難しい手返し勝負を制し、決勝戦へ駒を進めたのは、1位が大林裕幸選手、2位が横山武選手。ともに同大会過去4度の優勝経験を持ち、インストラクター選抜を勝ち抜いた二人。3位には、セミファイナル西日本大会を1位で勝ち上がった伊藤幸一選手という、実力者ばかりだった。
決勝戦は前半戦40分、10分のインターバルを挟み、後半戦40分の計80分で競われた。開始の合図とともにエサ付けを開始し、真っ先にキャストへと移ったのは大林選手。その次に伊藤選手、横山選手と続いた。最初の回収でいきなりの10匹ほどを連で上げた伊藤選手は、その後も多点掛けを連発。予選リーグでは2色投げて、1色半以内を探っていた伊藤選手だったが、決勝戦ではそれまでに試合が行われていないエリアだったにもかかわらず近場にキスが少なかったため、3~3.5色投げ、3~2色までの間をメインで探り、常に安定した数を重ねていった。その後を、近投で攻める大林選手が追うものの、型には恵まれなかった。
左から、2位の大林選手、1位の伊藤選手、3位の横山選手。優勝した伊藤選手は「まずファイナルに出場するのが目的で、できれば頂点に立ちたいと思っていました。夢がかなって感無量です。来年はディフェンディングチャンピオンではなく、挑戦者の気持ちで頑張ります」と話していた
緊張状態にあるトーナメントでは、日頃起きないトラブルが発生する。横山選手は前半が開始してしばらく経った頃、道糸に傷でも入ってしまっていたのか、まさかのキャスト切れ。復帰するまでに1~2投分の時間を要してしまった。このことで後に「やけくそになってしまった」と語った横山選手は、集中力が切れたのかペースが狂ってしまった。しかし、後ほど自らが切った仕掛けを運良く回収することができ、この仕掛けに付いていたキスは釣果として認められるため、若干ながらもトラブルで生じたマイナスを補填することができた。
伊藤選手は「決勝戦の相手のお二方は、実力では勝てない。相手にのまれないよう、周りを見ないようにしていました」と、試合中は終始周りを見ず、常に自分の釣りに集中してマイペースを保っていた。後半もそのペースは保たれ、最後まで安定した釣果を稼ぎ、結果1,468gをたたき出した。伊藤選手を追う大林選手は、後半それまでの手前狙いから沖狙いへ変更することで良型が混じるようになったが、追いつけず1,346gで2位。トラブルに涙を飲んだ横山選手は1,036gで3位となった。集中力を切らすことなく自分の釣りを貫いた伊藤選手が見事優勝。ジャパンカップの栄冠を初めて手中に収めた。
【大会結果】
1位 伊藤幸一/1,468g
2位 大林裕幸/1,346g
3位 横山武/1,036g




