釣りサンコラム

釣りほっこ 第24投

2010年03月09日 小松康宏(こまつやすひろ)

釣りほっこ

舞台は波止の上!? 竿曲げるやり取り相手は豹変ニャーン?

釣り場には思いがけない動物が住みついていることがあります。先日行った釣り場には、テトラに猫が数匹、住みついていました。いままで出合った動物は、猫以外に、ネズミ、子犬、珍しいものではアライグマ、ヘビなどがいたものです。そんな動物の中でも、なぜか出合う機会の多いのが猫。先日釣り場で出合った猫はとっても人間に馴れていて、釣り竿を持った人の姿を見つけると、こっちに向かってきてお出迎えまでしてくれるといった気のききよう。その人なつこさからして、生まれつきの野良猫ではないようなのです。釣り人がエサを与えるためか、それとも釣った魚のおこぼれを拝借できるのかは定かではありませんが、テトラを住み家としているようでした。どうも人間と暮らすよりは、自由で自然とあって住み心地が良いのかもしれません。

この猫、私が釣りの用意を始めると、ご機嫌麗しく尻尾を上に向けて寄ってきて、開けるクーラー、バッカンの中まで覗き込むほどの馴れ馴れしさでした。「お名前は…?」と聞けば、ニャーンと泣くだけで、ミーと呼ぼうがミケと呼ぼうが、返事は決まってニャーンのただひとつ。きっと名前は「ニャーン」というのだと、一人合点してしまった私でした。ニャーンは愛嬌、可愛らしさに加え、人なつこさがウリ(?)で、この世を生き抜いていく術(すべ)をちゃんと心得ている様子でした。釣り座近くの陽だまりの中で、早くお弁当をお披露目するか、魚を釣ってくれるのを待っている、なんともおっとりとした性格だったのです。

ところがウキが沈み「ビュー」という竿の風切る音を聞き入れると、このニャーンの行動はおっとりした態度から一変。なんとも軽快な身のこなしで、テトラの上を一目散に駆け寄って来たのです。この不自然な猫の動きが何を意味するのかわからずにいた私は、この後とんでもない事態に遭遇したのです。数度の空振りを繰り返し、やっと魚らしきものがヒットしました。手ごたえは小さく一気に抜き上げると、それは小さなアイナメでした。エサ取りか…とハリを外すために足場の良いところへ移動しようと、海に背を向けたその時でした。抜き上げて波止上の向こう側にいるはずのアイナメから、とんでもない魚信(?)が伝わってきたのです!

瀬戸内の穏やかでのどかな漁港。どこにでもあるような...瀬戸内の穏やかでのどかな漁港。どこにでもあるような風景ではありますが、この平和な釣り場に珍事が潜んでいようとは思いもしませんでした。一見おとなしい、人なつこいニャーンではありましたが、獲物を探す瞳は鋭く、獲物を見つけるや我を忘れ、性格が一変するという豹変ぶり…。そのうえ、食欲旺盛でおこぼれの魚以外にも購入した弁当、パンのほとんどを平らげてしまいました。しかしながら、惜別の際には、ちゃんと波止のつけ根までお見送りに…ニャーンとも可愛い珍住者でした

竿は折れんばかりに曲がり、グイグイと強烈な引きで走って行こうとするのです。この珍事に何事が起きたのか全くわからず驚いていると、さっきまで横にいたはずのニャーンの姿が見えません・・もしかしてと、その獲物に近づくとニャーンがアイナメを両手で押さえ、もうすでにその獲物を口に咥えていたのです。アイナメには釣りバリが掛かっていて危険なので獲物を取り上げようと近づくと、ニャーンは獲物を取られると思ったのか、アイナメを咥えて走り出す始末。その強烈なファイトにはただただ猫の走る方へ一緒に走って行くしかありませんでした。

猫にしてみれば、せっかくの獲物を取られてなるまいかと逃げるものの、逃げる方に私が竿を持って追いかけてくるものだから、さらに逃げようとファイトを繰り返します。きっとこの現場を目撃した人がいれば、腹を抱えて笑いこけたことでしょう。遠い昔、カモメを相手に空中戦を繰り返して以来の激戦でした。正直いって老体には酷な戦いでもありました。この後、波止の先端まで逃げたニャーンは、前方の海に行く手を阻まれようやく止まりました。

しかし、ここからもう一難が待ち受けていたのです。しっかり咥えた獲物を取り上げようと手を伸ばせば「ウー」と凶暴な声を発して威嚇してくる始末。怖い…しかし取り上げねばとさらに手を伸ばせば、とうとう鋭い爪を出した両手で猫パンチを食らってしまいました。怖い…もとい、今度は痛かった~。猫がこれほど怖いとは、ニャンとも予期していなかったです。この終結はと申せば、なんとか釣りバリを外して獲物だけは丁重にお返ししたのですが、それから数分経って釣り場に戻ってきたニャーンは、何事もなかったかのように再度陽だまりの中にいました。そのおっとりした猫相(?)からは、あの凶暴な性格など微塵も感じられなかったものです。釣り場にはときたま我を忘れ、豹変する動物が住みついているようです(その中には人間も含まれているのかもしれませんが…)。皆さんもくれぐれも、ご注意くださいませ…クワバラクワバラ。

小松康宏(こまつやすひろ) 小松康宏(こまつやすひろ)チヌ釣りの超精鋭集団・瀬戸竿鬼会を率いるダンゴ釣りのオニ。地元香川県女木島で一日釣果101匹、愛媛県御荘湾で最大実寸62cmの記録を持つ

このページの先頭へ戻る

  1. 関西の釣り情報は「釣りサン」に決まり!釣りサンデー
  2. 釣りサンコラム
  3. 釣りほっこ 第24投